一日


もう、いいじゃないか
もういいんじゃないかな
彼女は言った
俺は何食わぬ顔をしている
頑張ったもの
もういいよ
そういって彼女はクツ脱いだ
俺は何食わぬ顔をしている






今朝
町で絵を描いていた彼女が俺に声をかけた
俺は「勝手にすれば」と表情で伝え、そこに居直る






彼女は俺を描いた






俺は逃げる
染まりそうだ
未だ触れたことの無い
あの柔らかな感情が怖い






何時間、そこにいるつもりだい
もう、昼を過ぎたじゃないか


そこは俺のお気に入りの場所


彼女の居場所ではないだろう?






俺はあきらめた
なにかくすぐったい気がしたけども
それは、正直、心地よいから






黒い体を精一を広げ様々な格好で
そうするとヤツは喜ぶんだ


彼女はバンズを千切ってくれる
それを俺はついばむ






自覚している
醜い姿を自覚しているとも

この季節は俺にとっては眩しすぎる
黒い体が卑しくもツヤツヤと光る
彼女はそれを
羨望のまなざしで
なおかつ
一秒
この瞬間を白い空に封じ込める
震えながら
徐々に
徐々に
空に反比例した色へ、色へ






まだ描くのか・・・






もうすぐ
空は白を赤く染め上げる



ただ一つ聞きたいことがあるんだ
オマエは
あんな、綺麗な人達と同類なのかい?
彼女の肩へ飛び乗って尋ねた






まだ、震えながら、彼女は、こう言った
「君は綺麗だね」







それは答えになっていないぜ?







さあ、もう行かなければ
俺の季節が来るからね









彼女の季節はもう終わったんだろうよ